心に残る音楽  認知症の村の暮らし

オランダの認知症の村

オランダの認知症の村

オランダの人里はなれた村、Hogeweyにはたった152人しか住民がいません。
村を歩き回ったり、お店で買い物をしたり、レストランで
お食事をしたり…一見、みんな普通の生活を送っているように見えますが、実は
この場所は老人ホームであり、ここに住む人たちは全員認知症の患者さんです。
そして、この「認知症村」は、住民が正常な生活をしているという想定のもと
成り立っているのです。だから、住民は、自分たちが常にモニター(監視)
されていることも、実は住む家が精神病院だということも知りません。
村の中には病棟も、長い廊下も、玄関もありません。
代わりに、一軒の家に6~7人の患者と1人~2人のケアテイカーが住んでいます。
ガーデンには緑の樹々や、美しい花が植えられ、住む家も住民の好みや認知症で
記憶が消える直前のスタイルのしつらえで美しく整えられています。
村の郵便局やお店のスタッフもすべて
認知症の患者さんを専門に扱う訓練を受けたケアテイカー。
ありのままでいていい…と、認知症のままで普通に暮らすことが許された空間なのです。

そんな一風変わった施設を批判して、老人をだましていると言う人達もいるそうです。
しかし、この村の創設者の1人、イボンヌさんはこう返します。
「ここは本物の社会です。私は、みんなが騙されていると感じてるとは思いません。
もし私たちが彼らに本当じゃない作り話をするなら、
それは彼らにわかってしまうし、騙されたと思うでしょう。
でも、私たちは作り話などしていません。」
何よりもイボンヌさん自身が、ご自分のお父さまが心臓発作で亡くなったことを
知らされたとき、最初に思ったことが「父が施設に入るようなことがなくて、
よかった!」という反応に自ら驚いたからだと言います。そのことをきっかけ
に、過去の記憶のないお年寄りができるだけ正常に暮らせるような 理想的な施
設について同僚たちとディスカッションを重ね、生まれたのがこの認知症の村なのです。

そして、この世界に一つだけの認知症の村には、音楽がいっぱいです。
言葉は忘れてしまっていても、音楽は患者さんたちの記憶に残っているからです。
認知症のご主人を訪ねて、ほとんど毎日ここに通って来られるある女性は、
ピアノを弾いてご主人と歌を歌うことを楽しみにしています。
音楽は言葉や記憶を失ったご主人とコミュニケーションする大切な架け橋だからです。

Hogewey-village こんな素敵な所で暮らしているようです

統計が取られたわけではありませんが、この施設の利用者は他と比べて、
薬の摂取量が少なく、よく食べ、寿命も長いということです。

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