音楽を聴いて… ドクターからの声

54年の人生を振り返ると…そう、いつも音楽が近くにありました。医学と音楽。実はあまり関係がないように思われるかもしれませんが、私はそう思いません。なぜならば最近の医療には「統合医療」という概念があります。統合医療とは西洋医療だけにこだわらず、代替補完医療(ホメオパシー、音楽療法やハーブ療法、ヨガ、瞑想など)も取り入れて患者さんに最も適している医療を組み合わせ、提供する医療のことです。その中に占める音楽療法は位置づけとして重要と考えます。私は時々こんな妄想をします。人は何もかもを失ったときにどんな状態になるか?何を心の支えにするのか?知らず知らずに歌を口ずさむことをしていないでしょうか?もし今の生活の基盤を失うような戦争や震災などで住む場所もない、着るものもない、食べるものもない状態ができたとしたら…このように皆不安でどうしようもない時にこそ、音楽・歌は多大な力を発揮すると思います。我々は、実はそれを知っているんだと思います。だけど豊かになりすぎてそれを忘れていると思います。もう一度思い出してみるために古いアルバムを取り出してみて一つ聞いてみませんか?音楽から伝わってくるのはそれぞれの受け手によって違うでしょうが、きっと目に見えないもの。時に光であったり、風であったり、遠い記憶であったり…そして受け皿はなんですか? これもまた目に見えない、そう「こころ」であると思います。どちらも目に見えないものだから、人に伝えるのも説明するのもむずかしいのですが、その反面、感じていただけやすい環境や工夫が要るのです。MARTHさんの楽曲をとおしてその受け皿の「こころ」が呼び起こされたり、刺激剤のように感じやすくなる。まさしく「こころ」が感じやすい工夫ができる気がします。嫌なことがあったり、いいことがあったり、「こころ」の受け皿が刺激されているときに音楽を好んで聞いてみてはいかがでしょうか?嫌なことを忘れられるかもしれません。前向きになれるかもしれません。音楽の無限の力と医療を結びつけて、多くの方々と楽しみながら「明るく生きる。そしてたくましく生きる」を実現したいものです。皆様もぜひ何かを感じて共感していただけたら幸いです。

さいきじんクリニック
院長 齋木豊徳 先生
愛しているからシリーズ8CDセット