トルコのお医者様、イスラム音楽の演奏で癒やす…

麻酔科医のエロール・カン博士(左)がYayli tanbur(オットマン・バイオリ ン)を演奏中。Bingur Sönmez教授が手にしているのはネイフ ルート。血管手術を受けたばかりの患者さんが、演奏に合わせて口ずさみ、リ ラックスしている。

麻酔科医のエロール・カン博士(左)がYayli tanbur(オットマン・バイオリン)を演奏中。Bingur Sönmez教授が手にしているのはネイフルート。血管手術を受けたばかりの患者さんが、演奏に合わせて口ずさみ、リラックスしている。

(画像:www.theguardian.com)

トルコの首都イスタンブールにあるメモリアルホスピタルでは、
医師のグループが様々な病気の補完的な治療にイスラムの伝統音楽を復活させています。薬が科学やテクノロジーにますます依存しているこの時代に、音楽のセラピーは変わったことと思うかもしれませんが、音楽による治療の恩恵は、ほぼ1,000年にわたって知られていることです。
伝統的アラブ及びトルコの音楽に特有の「マカム」という様式は、9世紀にはイスラムの治療薬として利用されていました。当時、al-Farabiという哲学者が様々な音楽様式が人のからだと心に与える影響について分類しました。
音楽のピッチ、パターン、展開について定義されたマカムは、耳から聞いて習う ものでした。

イスタンブールのメモリアルホスピタルの医師たちは、それぞれ異なったマカムが
患者たちにポジティブな心理的、理学的効果をもたらすことを確信しています。

集中治療病棟の麻酔医であるエロール・カン博士はブルガリア、ソフィアの病院 に勤務していたときミュージックセラピーに出会いました。当時はテープレコーダーとヘッドフォン を使っていましたが、1996年にトルコに移住すると、博士は何百年も昔のミュージックセラピーの音楽 を演奏するためにネイフルート(トルコ式フルート)を学びました。そして、生の楽器で演奏する と影響はさらに大きくなることに気づいたのです。今では他の2人の同僚とともに、yayli tan bur(オットマン・バイオリン)やギターといった伝統楽器をマスターするようになりました。
「病気や健康の問題によって異なるマカムがあります。マカムの中には気持ちを 高揚させるものもあれば、リラックスさせるものもあります。食欲不振に悩む患者さんに効くマカムがあれば、hicazというダイエットが 必要な人向けのマカムもあります。もし、hicazを店内で演奏するレストランがあれば、お店はすぐつぶれてしまいますよ!」

「中世の病院は噴水のある中庭の周りに建てられていました。水の音、ガラス窓 の色、照明の具合、花や植物…そのすべてが患者たちにとって補完的な治療だったのです。だから、私たちの集中治療病棟でもこころが和 むピンク色の照明を採用することにしました。私たちの職場ではすでに5年間マカムを治療に使っていますが、最近ではほかの医師たちが 相談にくるようになりました。小児病棟の先生に今、ネイを教えているところです。それに時々、休んでいる同僚の先生のために演奏する こともあります。そうして、お互いにケアしているんですよ。」

医師たちが明確にしたいのは、マカムは現代医学の代わりとして使われているの ではなく、補完セラピーとして
利用されているということです。10分間の生演奏のあと、患者の心拍数と血圧は 下がり、追加して投薬する必要がないそうです。

参照元:www.theguardian.com

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